ポケットモンスタースペシャル

原案…日下秀憲 作画…真斗/山本サトシ 出版…小学館  (1997〜(多分))

何で今更「ポケモン」かっていうと
 
 深い動機は、何もありません。

 数年前にヤフーの検索窓にて「真斗」や「ポケスペ」で検索した結果が何とも寂しいものでしたので、自分が初めに作ったサイト(と、多分その次のサイト)にポケスペを紹介するコンテンツを置きました。存在の広まる一助になったかどうかは定かではありません。まだネットに(いえ社会そのもの)不慣れだったため、サイト自体も方向性が定まっていなくてどっちつかずでした。やはり表現をするにあたって(あるいは情報を発信するに当たって)対象者と情報発信の目的を考えることは大切ですね。その辺が分かっていなくて失敗した例を沢山知っています。大いに自戒するところです。

 折角出発点がそんなページだったのですから、もう一度紹介のページを置いてみることにしました。今では私なんかが紹介せずとも「ポケスペ」を取り扱う良質のサイト様が沢山あって、検索結果も充実してきていると思いますが、そんな中に紛れてこんな文章を置いておいても罪にはならないでしょう。

出会い

 とにかく、私が小学校高学年の頃から、中学生の頃までの間は、世の中全体を見ても少年による殺傷事件を含む色々と心のすさむ出来事が多く(他の人が言うように、ワイドショーが興味本位に取り上げまくっただけなのかもしれませんけど)、たまたま学校生活などの己を取り巻く日常さえも殺伐としていたこともあって、まさに世も末だと当時の自分は感じておりました。

 そんな現実を反映したのかどうなのか知りませんが、派手に殺し合いをしたり、性をとりあえず語っておけば思春期が語れますよ的な作品がウケていた時代でした。ええ、勿論、他の色々な人から見たらそうじゃなかったのかもしれないですけど、その頃のオレッチも他の馬鹿な子供と同じように新聞やテレビで語られるものが真実だと思って疑っていませんでしたから。

 癒しがブームになるのはずっと後ですが、自分はこの時、もっと純粋で健全なものや癒しを欲していたのかもしれません。ええ、そうでしょう、平均的な中学生にとっては健全すぎるものは物足りないし幼稚でもあるでしょう。しかし、現実にこんなに殺伐とした空気が蔓延しているのに、更にそれを求める気にはなれませんでした。体の成長なんかより精神面の成長を目に見える形で分かりやすく提供して欲しいという要求があった気がします。精神の成長といってもそんなに大したもんではないですよ。敵を打ち倒すことでささやかな自信を得たり、周りの人間と感情を分け合って一体感を得たり…などのレベルで良かったんです。

 リアルでそういうものが得られないのは、私に非があったからですって?…その通りかもしれません。ポケスペについての記述を求めていらしたのに、私などの愚痴を聞かされてはたまったものではないですね。さっさと話を進めましょう。

 とにかく、私が真斗さんのポケスペと出会ったのはそんな頃でした。

どんな漫画?

 「ポケットモンスタースペシャル」、略して「ポケスペ」(多分この略し方で合っているんだろうと思います。通じる人には通じますし。)は、任天堂が1995年に発売した、「ポケットモンスター」(通称ポケモン)というゲームソフトを漫画化したものの中の一つです。

 小学館が発行している、「小学○年生」(○に学年が入ります)という名前からして露骨に児童向けな雑誌に連載されている漫画です。

 私はどちらかというと、漫画(とかゲーム)というものに好きなだけ触れられるような環境では育ちませんでしたので、それらのものは一種の禁じられた遊びとしての魅力を持っておりました。図書館に行ったときがチャンスです。とにかく娯楽や癒しに飢えていたのでしょうね、中学生の癖に小学○年生のページを繰って恥ずかしいとも思っておりませんでした。(いや、ちょっとは気付いていたんだけどね。開き直ってたんだね。)

 そういうわけで、かなり正統派の児童向け漫画なのだろうと思います。いや〜、まさにそこが気に入っちゃったんだよ。(爆)

他にない正統派っぷり

 主人公の少年は、「レッド」という名前の10歳の熱血少年です。ポケモンというRPGの最終目的である「ポケモンマスターになる」ことを自分の人生の目的として掲げ、たぶんそれだけのために仲間たち(ポケモンという生き物)とともに旅を続けています。全ての行動が最終目的の達成につながっています。主人公は、目的に対して、これ以上ないというくらいに真摯です。「ポケモンマスターになる」という道は、予め敷かれたレールではあるが(全ての10歳が旅に出なければならないのでしたっけ?(笑))、全ての人間がなれるわけではないので、どこか開拓的な面を持つものでもあるように私には見えました。

 単純に「強くなる」ということを欲してバトルを繰り返しているだけにも見えますが、この場合使用する武器が生き物であることもあり、独り善がりで進んでいくことはできません。(確か、)頂点に君臨している四天王という存在(+α)を倒せば、ポケモンマスターになれるという設定だったと思いますが、「ポケモン」を集め、「図鑑」を完成させないといけないという二次的(いやこっちが本来的なんだっけ)な目的もあります。旅先で色々な出来事が起こり、バトルの相手(=)も、ある時には手を貸してくれたり、共に闘ってくれることもあります。「強さ」という最終目的に加え、「優しさ」「協調性」なんていう社会で必要とされるキーワードも同時に成立させているのです。

 こうして思い返すと、やはり例を見ない程に単純化された構成をもつ、実に正統派そのものといったバトル漫画だったのだなぁと思います。そして、その構成、あり方がしっかりしていたから、安心してその世界に遊ぶことができたのではないか…と思います。

 何故ポケモンマスターになるのか、何故旅をするのか、マスターになってどうするのか、その辺はほっぽらかして延々と過程を描く、実に分かりやすいお話です。恐らく、人生なんてそんなものなのかもしれません。「何故」は考えなくても良い。ただ誰かが何となく提示してくれた「目的」だけがある。とりあえずその目的にかける熱意忠実さ、そして真摯な行動さえあれば、後付けで何とかなっていくさ、という楽観的な世界観が私に救いを与えてくれました。

好きなとこ

 でも、いくら設定が魅力的でも、それだけでは漫画は成り立たないのは明らかです。特にこの漫画は、予めゲームとして発売されていたものを漫画化したものですから、そのゲーム上の設定(やら、各雑誌上の設定)から逸脱しないようにしつつ、尚且つ、独自的な要素を盛り込んで作られなくてはならなかったのだろうと思います(かなり設定を無視してる部分もありますが…)。こういった設定先行型の作品というのも、自由にゼロから作るのとはまた違った難しさがあるんじゃないですか?自分で要らないと思っても、設定されている以上触れなきゃだったり、反対にここおかしいよとか嫌だとかって思っても設定だから折衷せざるを得なかったり。私は別に業界通じゃないので、こういうことを言う資格は無いですけど。

 また、同じゲームを漫画化した別の作品も多々ありました。けれども、その中で、自分にとっては真斗さんの漫画はちょっと特別でした。やはりバトルを迫力あるものに仕上げていたということが一番だと思いますが(動きのある絵、というのは難しいそうです。真斗さんの絵がそうかは知りませんが)、どの回もしっかりした線で実にかっこかわいく仕上げてくださっていて、好感が持てました。

 各キャラクターもゲーム中よりもずっとかっこ良く活き活きと描かれていました。こればかりは絵の好みになっちゃうのかもしれませんけど。キャラデザの人や他のポケモン漫画をやっていた漫画家さんのほうが絵が上手いと見る人もいるでしょうし。この漫画を見るまでは、絵しか知らない一ゲームキャラにすぎなかったのが、真斗さんがわくわくするドラマを見せてくれたお陰で、思い入れが深まりました

 どちらが考えたのかは知りませんが、台詞回しも秀逸だったと思います。「お前、大学出てんだろ!」とか。ストレートすぎて、他の漫画じゃあんまり見ない表現じゃないですか?(笑)…元々のゲームからして台詞回しは独特のナイスさを持っていましたが。心の言葉にならないエリアを刺激してくれたと思います。尚、一番の名台詞はですね、レッドがイエローというキャラに言った
「じゃあ、一緒に暮らさないか?」
だと思っています。(私、そのコマ(回)見てないんですけど…。)一体どんな脈絡からそんな台詞が出たんだかいまいち良く分かんないんですが、ファンは喜んだらしいですね。イエローは淡々とスルーしてたらしいですが。

 リアルを気取ってる(?)のに、逆に妙に現実離れしてるところが、私のツボだったんだろうと思います。そういう世界大好きですから…(リアルじゃねぇよ、とか言われることは先刻承知。実際にリアルでかっこいいという評を見たことがありますし、強いて言うならリアルロボット系が少しもリアルじゃないのにリアル系と呼ばれるのと同じなんじゃないですか?)。

 夢があったんです。この漫画には。似非リアルの極みみたいな、そんなところが俺のお気に入りなんです。

 性描写や恋愛を極力避けているところも、当時の自分には好感が持てました。で、逆にその寸止め感もファンの想像を膨らませる元になったんじゃないですか?(キャラ同士の恋愛を描いた二次創作小説とかも、出す人は出してたみたいだし)。

最後に(ネタばれ有)

 全身タイツでポケモンの歌を歌っていたイマクニさんという人(この人の職業って何なんですか?…ググれってか)が、雑誌上に寸評を寄せていたんです。
この漫画、俺が描いたことにしちゃいたい
って。私もまったく同感でした。この漫画がいかによく描けているか、巧く言い表していると思います。(…違う?)

 だから自分でポケモンの漫画を描いてみたりとかもしました。馬鹿ですね。同人のどの字も知りませんでしたが、これも二次創作には違いないでしょう。…ただ、ね。対象年齢と技巧のレベルが、ね…。でも自分にはいい思い出なんです。あくまで「いい」思い出なの。

 ファンレターも出しましたよ。純粋に応援したかったですし。

 この間、ちょっぴり昔語りをしたくなって、主人公の一人「イエロー」の設定について少し友人(?)に説明したのですが、
麦わら帽子の中に髪の毛が隠せるわけないじゃん
と、一刀両断にされました。長い髪の毛をうまく隠して、女の子なのに男の子のふりをしているという設定が、当時の私にはとても魅力的だったのですが…。ありふれた設定なんだけど、見せ方がよかったと思っていました(ありきたりに風かなんかで帽子が落ちてバレるんだけど…)。男の子のふりをしているときと素(女)に戻るときとでは、何故か顔つきまで別人のように変わる、というのも実に分かりやすかったです。

 ポケモンとは全然関係ない別の漫画にも「女の子の姿で一人旅をするのには苦労があるものね。」って台詞があったことを覚えていますが、そんなもんなんでしょうか。実感がわかないのですが、ひじょうに似非リアルっぽさがあって良いです。

 素敵な漫画なんだけど、いまいちその素敵さが人には伝えられないというもどかしさを感じてなりません。そういうわけで、もうお薦めとかそんなのはそっちのけでできるだけ率直に感想を書いてみました。やっぱつまんない漫画なのかもしれませんが、児童向けのものを書きたい人には大いに参考になるんじゃないですかね?

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